タブラ修行初編 第4話「プラトニック・ラブ」
想像を超えたハイパーなレッスンを終え、ヘトヘトで帰宅すると、シタールのYO君とタブラのレオ先輩の灼熱の練習が炸裂している!!!
「せ、、せ、、、先輩、、レオ先輩!!」
レオ先輩のタブラの音はスコーンッ!とよく抜け、バヤの低音もずっしりと重い。小さい体からは全く想像ができない音を出す。
練習後、レオ先輩に、タブラの事、師匠の事を聞いてみた。
「2歳からタブラは習ってるよ。6歳の時、師匠のコンサートを見て、すごく感動して気付いたら、演奏が終わった師匠に、弟子にして下さいって伝えてた。」
「えっ。それから、ずっとタブラ練習してるの?」
「うん毎日。練習しないと師匠に怒られるもん。」
「レオ先輩でも師匠に怒られるの?」
「うん。ちゃんと練習していかないと怒られるよ。すごく怖いよ。師匠の前で叩く時は、めちゃくちゃ緊張するもん」
「そ、、そ、そうだ!!」と、シタールのYO君の震えた声。
「ぼ、僕なんか、レッスンの日は朝から震えが止まらなくて、師匠の前では緊張しすぎて、練習した事の半分も見せれないよ。今日もめちゃくちゃ怒られた、、、」
「えっ?」
「お前は、俺のレッスンに何しに来てるんだ!?遊びなら、もう来るな!帰れ!って言われた事もあるよ。グスっ、、」
「えっ!!そんな事まで」
「でも、厳しいのは真剣に教えてくれてる証拠だよ。師匠の色んな人へのレッスン見てるけど、やる気のない人とか見込みのない人には、厳しい事とか言わないもん」
とても13歳とは思えない説得力のレオ先輩!
「ぼ、僕はね、毎年インドに通っているけれど、これだけは肝に銘じてるんだ、、教えてもらったフレーズは必死に何度も練習する。怒鳴られても、立ち直れないくらい厳しい言葉を言われても、めげずに何度も、教えてもらったフレーズを必死に練習して師匠に見せに行く。絶対にあきらめない!!」
YO君の瞳は涙でキラキラ輝いている。。
キラキラ、キラキラ、キラキラ、、ピッカ~ン!
!!!!気づいた!!!!!
今日のチョーさんのハイパーなレッスン、、
それを何百回、何千回と繰り返して生まれる信頼関係。
それが師匠と弟子の関係!
必死に練習するのは約束を守る事!
教えてもらった事を叩ける様になる約束!
その約束を破ったらダメだ。
その関係を裏切ったらダメだ!
一生懸命に練習して、それを見せにいくのは、
まるで何度も、愛の告白をしてる様なもの!
「師匠と弟子のプラトニック・ラブだ!!」
俺は、叫んでいた!
「デレデレデレデレ、、、、、でれでれ、、、でれでれ、、」
さっきひたすらに叩いてきたタブラのフレーズが、違った響きを持って、どこからともなく聞こえてきた。
「でれでれ、、、、でれでれ、、、」
「あっ、、あれ!!?」
俺の中で、チョーさんを愛おしく思える気持ちが沸いてくる、、
チョーさんときゅうりのプラトニック・ラブ、、?
いやいやいや、、、、。
まだまだ、俺には想像できない。。。
インドタブラ修行初編 第5話へ つづく