タブラ修行初編 第5話「放置プレイ」
チョーさんの家で、奥さん自慢のベンガル料理を頂いてからレッスンが始まる。
「今日はテレケテだ。PLAY!」
と言い残した後、チョーさんは部屋の外に出て行ってしまった。
「あれ??」
意味も分からず「テレケテ、、、テレケテ、、、テレケテ、、、、」
15分叩き続けるがチョーさんは全く戻ってこない、、、、
「ちょっと休憩しよう」と一息入れると、
「やめるな!!PLAY!PLAY!」
と戻ってくるチョーさん。そして、また、出て行く。
15分叩き続けるがチョーさんは全く戻ってこない、、、、
「あーやばい、集中力が切れてきたな~、、、、」
「ちゃんと叩け!!集中しろ!!PLAY!PLAY!」
とチョーさんの激が部屋の外から飛んでくる。
「監視カメラでもついてるのか?」
15分ぶっ続けで叩き、一息入れると、
「やめるな!!PLAY!PLAY!」
とチョーさん、、
分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、
しかし、とにかく、また同じフレーズを叩き始める。。延々と2時間、、、、。
そしてそのあと、何事も無かったかのように、いつものハイパーレッスンが始まった。
分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、
帰りぎわに、チョーさんが話してくれた。
「一度、かの天才タブラ奏者ザキール・フセインさんと同じフェスに出た事があって、たまたま彼の部屋の前を通りかかった時、タブラを練習する音が聴こえたので、何を練習してるのか、じっと部屋の外で聴いていた事があるんだ。」
「そ、、そ、それで、、」
「天才ザキール・フセインさんなので、数々のミラクルなフレーズを溢れんばかりの才
能で練習しているのだと思うだろ、、」
「う、、う、、うん」
「すごくシンプルで、基礎的なフレーズを、1時間、2時間、3時間、、ただひたすら練習してるんだ。ノンストップでだ。」
「え、、え、、、!?」
「練習とは、そういう事だ、わかった?じゃまた明日」と言って、チョーさんは、俺を送り出してくれた。
俺は、訳も分からないまま、待ってもらっていた車に乗ると、激しいレッスンの疲れのせいか、いつのまにか眠っていた、、、、。
インドタブラ修行初編 第6話へ つづく