タブラ修行初編 第6話「テラクワさん」
今日は、ヨシダダイキチさんが「テラクワさん」の所へ出稽古に行くという。
「U・アーマド・ジャン・テラクワ」という20世紀の伝説のタブラ奏者!色々なタブラのスタイルを統合して、新たな可能性を生み出した偉人中の偉人!!
その初代テラクワさんを継承している「U・ラシッド.ムスタファ・テラクワさん」の家で出稽古。なぜか俺もタブラを持って一緒に付いて行く事になった。
南デリーにあるご自宅に到着し、内弟子らしい若者に案内される。
「こ、、、こ、、こんな巨匠が目の前に、、、、」
チャイを飲みながら初代テラクワさんの映像などを見せてもらい、数々の伝説を聞く。
ひとしきり映像を伝説話が終わったところで、おもむろに
「じゃ、君シタール出して。おい、お前タブラを持って来い!!」
という一声。
タブラは、U・ラシッド・M・テラクワさんの20代の息子「シャリーク」
「どれどれ、、、まだまだ若いから、さすがにそこまでは、、、」
「スコーン!ドゥン!タララララ!ツゥ~ン!カーン!」
「う、、、う、、めちゃくちゃ上手いっっ!!」
ダイキチさんの出稽古は、まさに白熱!!
熱気、、熱気、、パッション、、パッション!!
演奏が終り余韻に浸りながら、テラクワ一家とチャイを飲みながら雑談してると、おもむろに、、、
「お前、タブラ叩くのか?」と巨匠の一声。
「は、、は、、はい。いちおう、、、」
「誰の弟子?」
「チョーさんです、アルナングシュ・チョードリィです」
「おお。アルナングシュか。おい、ちょっと叩いてみな!」
「えっっっっっっっっっっっっ!?」
心臓が飛び出た!いきなり巨匠を前に!、、やばい、、やばい、、、やばい、、やばい、、やばい、、やばい、、やばい、、やばい、、、やばい、、やばい、、やばい、、やばい、、
「いやぁ!!!!もう、どうにでもなれ!!」
俺は、いつもチョーさんに習ってるフレーズを叩いた!!!
叩いた!叩いた!たたいた!たたいた!涙
そして、真っ白な灰になった。
ほんの数秒が無限の時間に感じられた。。
宇宙の果てまで漂っていると、、、
「ワハハハハハ、、良い音してるよ。ワハハハハハ、、」
と巨匠U・ラシッド・M・テラクワさん。
その声で気が付いた、、、
宇宙の果てから帰ってこれた。
半年近くたった今でも、あの日の出来事は、夢だったのではないかと思う時があるが、、
連日5時間のチョーさんのハイパーレッスンのお陰で、今、俺の目の前のタブラから「良い音」がしてるのは夢じゃない。
インドタブラ修行初編 最終話へ つづく