出会い 第3話「ナかぬならナかせてみようホトトギス」
それから、、、、
毎朝8時にホテルへ迎えに行き、9時から夕方まで、みっちりレッスンの日々が始まった。
本当の初歩の初歩、ナの叩き方。じっくり丁寧に教えてもらう。
cho「薬指はここね。で、中指はこう。小指はここで。手首はこう。親指はこうで、人差し指で、、、、、、、、、ナーーーーーッ!!!」
荒野を突き抜ける風のように天高く舞い上がるチョーさんのナ。
cho「では、やってみて」
き「はいっ!!ええぇっと、薬指、小指、手首、人差し指、、、
うぉら!!、、、、、、ナ。」
cho「違う違う。こうだよ、、、ナーーーーーッ!!!」
き「うぉあ!!!!!、、、、、、、、ナ。」
cho「ナーーーー!!!」
き「、、ナ。」
まったく力を使わずに壮大な爆音を轟かせる最強生物と、
全身全霊の力を込めて、米粒のような音を発するミドリムシ。
対極的な二人。正反対の二人。長髪と短髪。毛量多めと、、、、。
cho「ナーーーー!!!!!」
き「、、、な。、、、鳴らない、、、、
、、、ちくしょー!!俺が信長だったら、タブラを叩き切ってやる!!!」
限りなく理不尽な感情がこみ上げてくる。
cho「うーん、、、。中指はこう、手首はここ、親指はここ。これは、ここ、で、こうね。」
細かな位置、角度を数ミリ単位で調整してもらう、、、。
き「ナー。あっ!!少し鳴った。」
たった一つの音を3時間、4時間かけて教えてもらう、、、。
き「ナーー。」
cho「違う違う。ナーーーーーーッ!!!」
できない、できない、できない、できない、できない、、、
目の前には、鼓膜がビシビシと圧迫されるチョーさんの音!!!
できない、できない、できない、できない、できないっ!!
答えがすぐ目の前にあるのに、
できない、できない、できない、、、、。
子供の頃、いきなり海に掘り込まれた時の気持ちを思い出す。プールでは、あんなに泳げたのに、、、、。
き「無理だよ。こんなの。見た事も聞いた事もないのにできるわけないじゃないか!!!
ちくしょう。ちくしょう…。ちくしょう!ちくしょう!!!
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、、、、。
できない、できない、、、できない~~っ!!!、、、、、、、」
そして、その晩、、、
ひとり、、、枕を濡らした、、、。
師匠チョーさんとの出会い 第4話へ つづく