タブラ修行初編 第1話「到着」
インドでの滞在先はサケットという裕福層の住む地区にあるセキュリティー万全なウィークリーマンション。
地区一帯は柵で囲まれていて、24時間門番が立っている。到着したのは夜11時を過ぎた頃、、、
玄関のドアを開けたとたん、、、
異様な熱気が!!!!?
1週間ほど前から先にデリーに来ていたダイキチさんの他に、シタール奏者がもう一人に、タブラ奏者が一人、、、。
灼熱の練習中!!!!!?
「な、な、なんだ、ここは!?なんなんだこの熱気は!?」
1月のデリーは凄く寒い。夜はダウンジャケットが無いと外を歩けないほどに。
しかし、この一室だけは、真夏のインドを上回るほどの熱気が充満していた。
耳をつん裂くタブラの音と空間を満たすシタールの音が、リビングでウネりまくっている。
しばらくその様子を傍観していると、タブラを叩いていた一人が俺に気付いて声をかけてきた。
「お前が、"きゅうり" か?なんか思っていたより普通のやつだな!」
不躾にそんな事を言ってくるそいつは、小さい子供のように見える。
さっき、タブラを叩いていた時には同じ年ぐらいかと錯覚したが、タブラから離れてここまで数メー
トル歩いているうちに、タイムスリップでもしたかのように子供になった。
「なんだ。お前は!??失礼なやつだな!!?」
「俺はレオ。13歳。タブラは2歳からやってる。つまり、お前の先輩だよ。」
「え!!?10年以上?その歳で!?、、、レ、、レオ、、、、レオ先輩!!?」
「よろしく!!きゅうり!!」
「よろしくお願いします!!レオ先輩!!」
その様子を、じっと遠くから観察していたシタールを弾いていた男も近寄ってきた。見た目は人の良さそうな日本人のようだが、日本語を話していない。
「僕は、台湾から来たYOと言います!!君がきゅうり君か!!話には聞いていたよ。よろしくね!!」
「ああ!!?台湾のYO君か!!?俺も名前は聞いたことあるよ!!日本語喋れるんだね!!うまいね!!こちらこそよろしく!!」
何が何だか訳のわからないまま、異様なテンションに飲み込まれ、インド初日の夜はスタートした。
高級マンション、夜遅くまでギンギンの練習、、全てが予想外の初日、、
さっそく明日は、チョーさんと再会、、デリーでの初レッスン、、、
いきなりカウンターパンチを食らって、
気づくと夜は明けていた、、、
インドタブラ修行初編 第2話へ つづく