タブラ奏者きゅうりの修行日記

毎年訪れるインド、日本他諸外国での活動。師匠チョーさんとの涙あり笑いありの修行日記です。

タブラ修行初編 最終話「クリエイト」



「クリエイト」というと、誰もやった事のないスゴいものを作り上げる偉人や天才みたいなイメージがあったけど、、
 
 
 
 
俺がチョーさんと出会ったことで気付けた「クリエイト」は「一つ一つの音を丁寧に繋げていく」という事。
 
 
 
 
いよいよ明日、チョーさんが日本に到着するので、長々とお付き合い頂いた「俺のタブラ修行日記」は一旦終わります。
 
 
 
 
書きたかったエピソードは、まだまだ沢山ありますが、、、。
 
 
 
 
去年11月と今年1月、チョーさんは毎日5時間付きっきりでみっちり教えてくれました。
 
 
 
 
 
それは、新しいフレーズを色々教えるのではなく、シンプルではあるけれど、音楽の土台になる重要なフレーズを、何度も何度も厳しく指導されるレッスンでした。
 
 
 
 
 
そしてさらに、音楽にもっとも重要な集中力のキープについても身をもって教えてくれました。レッスンだけではなく、チョーさん自身のライブやレコーディングを通しても、、、
 
 
 
 
集中力をキープしながら、一つ一つの音を丁寧に繋げていく事は、一見とても地味で、すぐに飽きてしまいそうだけど、
 
 
 
 
今の自分にとって、この行程こそ、色々な繋がりをクリエイトしてくれる「魔法」だと思えるようになりました。
 
 
 
 
一つ一つの音を雑に叩いて、雑な練習をし、雑な音を出したら、やっぱり雑な音楽と、雑な繋がりしか生まれない。そして雑な音楽では何も伝わらないし、すぐにほころびる繋がりしか生れない。
 
 
 
 
今回のライブでは、ヨシダダイキチさんのシタールに、チョーさんとツインタブラで演奏します。
 
 
 
 
 
これは「一つ一つの音を丁寧に繋げる事」が生んでくれた「新しい繋がり」です。
 
 
 
 
 
ももし、自分優先で自分勝手に雑に音を繋いでいたなら、この「新しい繋がり」は生まれていなかったでしょう。
 
 
 
 
 
チョーさんに出会う前の俺は、一体、何を練習し何を演奏したらいいのか悩み苦しんでいました。でも、今は違います。

 

 
 
 
 
この「新しい繋がり」は、まだまだ未熟な俺にとっての僅かな一歩でしかないけど、もっと多くの人とシェアして広がることで、自分を超えてクリエイトされる「大きな繋がり」になっていけると実感しています。
 
 
 
 
 
インドタブラ修行初編 完

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タブラ修行初編 第6話「テラクワさん」



今日は、ヨシダダイキチさんが「テラクワさん」の所へ出稽古に行くという。
 
 
 
「U・アーマド・ジャン・テラクワ」という20世紀の伝説のタブラ奏者!色々なタブラのスタイルを統合して、新たな可能性を生み出した偉人中の偉人!!
 
 
 
 
その初代テラクワさんを継承している「U・ラシッド.ムスタファ・テラクワさん」の家で出稽古。なぜか俺もタブラを持って一緒に付いて行く事になった。
 
 
 
 
南デリーにあるご自宅に到着し、内弟子らしい若者に案内される。
 
 
 
 
 
らせん状の階段を上がり玄関に到着すると、巨漢のU・ラシッド・M・テラクワさんがニコニコしながら出迎えてくれた。
 
 
 
 
 
「こ、、、こ、、こんな巨匠が目の前に、、、、」
 
 
 
 
 
チャイを飲みながら初代テラクワさんの映像などを見せてもらい、数々の伝説を聞く。
 
 
 
 
ひとしきり映像を伝説話が終わったところで、おもむろに
 
 
 
 
 
「じゃ、君シタール出して。おい、お前タブラを持って来い!!」
 
という一声。
 
 
 
 
タブラは、U・ラシッド・M・テラクワさんの20代の息子「シャリーク」
 
 
 
 
 
 
 
「どれどれ、、、まだまだ若いから、さすがにそこまでは、、、」
 
 
 
 
 
 
 
 
「スコーン!ドゥン!タララララ!ツゥ~ン!カーン!」
 
 
 
 
 
 
 
「う、、、う、、めちゃくちゃ上手いっっ!!」
 
 
 
 
 
 
ダイキチさんの出稽古は、まさに白熱!!
 
 
 
 
 
熱気、、熱気、、パッション、、パッション!!
 
 
 
 
 
演奏が終り余韻に浸りながら、テラクワ一家とチャイを飲みながら雑談してると、おもむろに、、、
 
 
 
 
 
「お前、タブラ叩くのか?」と巨匠の一声。
 
 
 
 
「は、、は、、はい。いちおう、、、」
 
 
 
 
 
「誰の弟子?」
 
 
 
 
 
 
「チョーさんです、アルナングシュ・チョードリィです」
 
 
 
 
 
「おお。アルナングシュか。おい、ちょっと叩いてみな!」
 
 
 
 
 
「えっっっっっっっっっっっっ!?」
 
 
 
 
 
 
心臓が飛び出た!いきなり巨匠を前に!、、やばい、、やばい、、、やばい、、やばい、、やばい、、やばい、、やばい、、やばい、、、やばい、、やばい、、やばい、、やばい、、
 
 
 
 
 
 
 
「いやぁ!!!!もう、どうにでもなれ!!」
 
 
 
 
 
俺は、いつもチョーさんに習ってるフレーズを叩いた!!!
 
 
 
 
 
叩いた!叩いた!たたいた!たたいた!涙
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、真っ白な灰になった。
 
 
 
 
 
 
 
 
ほんの数秒が無限の時間に感じられた。。
 
 
 
 
 
宇宙の果てまで漂っていると、、、
 
 
 
 
 
「ワハハハハハ、、良い音してるよ。ワハハハハハ、、」
 
 
と巨匠U・ラシッド・M・テラクワさん。
 
 
 
 
 
その声で気が付いた、、、
 
 
 
 
宇宙の果てから帰ってこれた。
 
 
 
 
 
半年近くたった今でも、あの日の出来事は、夢だったのではないかと思う時があるが、、

 

 

 

 

 
連日5時間のチョーさんのハイパーレッスンのお陰で、今、俺の目の前のタブラから「良い音」がしてるのは夢じゃない。
 
 
 
 
 
インドタブラ修行初編 最終話へ つづく

 

 

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タブラ修行初編 第5話「放置プレイ」

 
 
 
チョーさんの家で、奥さん自慢のベンガル料理を頂いてからレッスンが始まる。
 
 
 
 
「今日はテレケテだ。PLAY!」
 
 
 
と言い残した後、チョーさんは部屋の外に出て行ってしまった。
 
 
 
 
 
「あれ??」
 
 
 
 
 
 
意味も分からず「テレケテ、、、テレケテ、、、テレケテ、、、、」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
15分叩き続けるがチョーさんは全く戻ってこない、、、、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ちょっと休憩しよう」と一息入れると、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「やめるな!!PLAY!PLAY!」
 
 
 
 
と戻ってくるチョーさん。そして、また、出て行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
15分叩き続けるがチョーさんは全く戻ってこない、、、、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あーやばい、集中力が切れてきたな~、、、、」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ちゃんと叩け!!集中しろ!!PLAY!PLAY!」
 
 
 
 
 
とチョーさんの激が部屋の外から飛んでくる。
 
 
 
 
 
 
「監視カメラでもついてるのか?」
 
 
 
 
 
 
15分ぶっ続けで叩き、一息入れると、
 
 
 
 
 
 
「やめるな!!PLAY!PLAY!」
 
とチョーさん、、
 
 
 
 
 
 
分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、
 
 
 
 
 
しかし、とにかく、また同じフレーズを叩き始める。。延々と2時間、、、、。
 
 
 
 
 
 
そしてそのあと、何事も無かったかのように、いつものハイパーレッスンが始まった。
 
 
 
 
 
 
 
分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、分からない、
 
 
 
 
 
 
 
帰りぎわに、チョーさんが話してくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「一度、かの天才タブラ奏者ザキール・フセインさんと同じフェスに出た事があって、たまたま彼の部屋の前を通りかかった時、タブラを練習する音が聴こえたので、何を練習してるのか、じっと部屋の外で聴いていた事があるんだ。」
 
 
 
 
 
 
「そ、、そ、それで、、」
 
 
 
 
 
 
「天才ザキール・フセインさんなので、数々のミラクルなフレーズを溢れんばかりの才
能で練習しているのだと思うだろ、、」
 
 
 
 
 
「う、、う、、うん」
 
 
 
 
 
「すごくシンプルで、基礎的なフレーズを、1時間、2時間、3時間、、ただひたすら練習してるんだ。ノンストップでだ。」
 
 
 
 
 
 
「え、、え、、、!?」
 
 
 
 
 
 
 
「練習とは、そういう事だ、わかった?じゃまた明日」と言って、チョーさんは、俺を送り出してくれた。

 

 

 

 

 

俺は、訳も分からないまま、待ってもらっていた車に乗ると、激しいレッスンの疲れのせいか、いつのまにか眠っていた、、、、。
 
 
 
 
 
 
インドタブラ修行初編 第6話へ つづく
 
 
 
 

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タブラ修行初編 第4話「プラトニック・ラブ」

 

 
 
 
想像を超えたハイパーなレッスンを終え、ヘトヘトで帰宅すると、シタールのYO君とタブラのレオ先輩の灼熱の練習が炸裂している!!!
 
 
 
「せ、、せ、、、先輩、、レオ先輩!!」
 
 
 
レオ先輩のタブラの音はスコーンッ!とよく抜け、バヤの低音もずっしりと重い。小さい体からは全く想像ができない音を出す。
 
 
 
練習後、レオ先輩に、タブラの事、師匠の事を聞いてみた。
 
 
 
「2歳からタブラは習ってるよ。6歳の時、師匠のコンサートを見て、すごく感動して気付いたら、演奏が終わった師匠に、弟子にして下さいって伝えてた。」
 
 
 
「えっ。それから、ずっとタブラ練習してるの?」
 
 
 
「うん毎日。練習しないと師匠に怒られるもん。」
 
 
 
 
「レオ先輩でも師匠に怒られるの?」
 
 
 
 
「うん。ちゃんと練習していかないと怒られるよ。すごく怖いよ。師匠の前で叩く時は、めちゃくちゃ緊張するもん」
 
 
 
 
「そ、、そ、そうだ!!」と、シタールのYO君の震えた声。
 
 
 
 
「ぼ、僕なんか、レッスンの日は朝から震えが止まらなくて、師匠の前では緊張しすぎて、練習した事の半分も見せれないよ。今日もめちゃくちゃ怒られた、、、」
 
 
 
 
「えっ?」
 
 
 
 
「お前は、俺のレッスンに何しに来てるんだ!?遊びなら、もう来るな!帰れ!って言われた事もあるよ。グスっ、、」
 
 
 
 
 
「えっ!!そんな事まで」
 
 
 
 
「でも、厳しいのは真剣に教えてくれてる証拠だよ。師匠の色んな人へのレッスン見てるけど、やる気のない人とか見込みのない人には、厳しい事とか言わないもん」
 
 
 
とても13歳とは思えない説得力のレオ先輩!
 
 
 
 
「ぼ、僕はね、毎年インドに通っているけれど、これだけは肝に銘じてるんだ、、教えてもらったフレーズは必死に何度も練習する。怒鳴られても、立ち直れないくらい厳しい言葉を言われても、めげずに何度も、教えてもらったフレーズを必死に練習して師匠に見せに行く。絶対にあきらめない!!」
 
 
 
 
YO君の瞳は涙でキラキラ輝いている。。
 
 
 
 
キラキラ、キラキラ、キラキラ、、ピッカ~ン!
 
 
 
 
!!!!気づいた!!!!!
 
 
 
 
今日のチョーさんのハイパーなレッスン、、
 
 
 
 
それを何百回、何千回と繰り返して生まれる信頼関係。
 
 
 
 
 
それが師匠と弟子の関係!
 
 
 
 
必死に練習するのは約束を守る事!
 
 
 
 
教えてもらった事を叩ける様になる約束!
 
 
 
 
その約束を破ったらダメだ。
 
 
 
 
その関係を裏切ったらダメだ!
 
 
 
 
一生懸命に練習して、それを見せにいくのは、
 
 
 
まるで何度も、愛の告白をしてる様なもの!
 
 
 
 
「師匠と弟子のプラトニック・ラブだ!!」
 
 
 
 
俺は、叫んでいた!
 
 
 
 
 
「デレデレデレデレ、、、、、でれでれ、、、でれでれ、、」
 
 
 
 
さっきひたすらに叩いてきたタブラのフレーズが、違った響きを持って、どこからともなく聞こえてきた。
 
 
 
「でれでれ、、、、でれでれ、、、」
 
 
 
 
「あっ、、あれ!!?」
 
 
 
 
 
俺の中で、チョーさんを愛おしく思える気持ちが沸いてくる、、
 
 
 
 
 
チョーさんときゅうりのプラトニック・ラブ、、?
 
 
 
 
 
いやいやいや、、、、。

 

 
 
 
 
まだまだ、俺には想像できない。。。
 
 
 
 
インドタブラ修行初編 第5話へ つづく
 
 

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タブラ修行初編 第3話「くたくた、でれでれ」



「11月に教えたフレーズを叩いてみろ!」
 
 
 
先ほどの笑顔とは打って変わって鬼のような形相のチョーさん。
途端に、体に緊張の走り、頭は真っ白になる。
 
 
 
 
緊張!緊張!緊張!緊張!
 

パニック!パニック!パニック!パニック!
 
 
 
 
「しかし、インドまで来た俺は、今までの俺とは違う」
 
 
 
緊張とパニックを押し返し、タブラを叩く!
 
 
叩く! 叩く! 叩く! 叩く!
 
 
 
「ラブリ~ッ!!!」
 
 
 
部屋にこだまするチョーさんの声!
 
 
部屋を照らすアノ輝き!
 
 
 
 
 
 
「ちゃんと練習してきたな。いいぞ。いい音で鳴っている!」
 
 
 
 
鬼のような表情は、笑顔に変わっている。
 
 
 
 
「よし。では、少しずつテンポを上げていこう。」
 
 
 
 
「はい!ダーテテケテタク デレデレケテタク..」
 
 
 
「まだまだ」
 
 
 
 
「はい!ダーテテケテタク デレデレケテタク..」
 
 
 
 
「まだまだ!」
 
 
 
 
「はい!ダーテテケテタク デレデレケテタク..」
 
 
 
 
「もっともっと!」
 
 
 
 
「もっともっと!!」
 
 
 
 
「はい!!ダーテテケテタク デレデレケテタク..」
 
 
 
「まだまだだ!!!!」
 
 
 
「えっ!?」
 
 
 
さっきまでの笑顔は消え去り、鬼のチョーさんに変わっている!?
 
 
 
「全然、遅い!遅い!!」
 
 
 
「ダーテテケテタク デレデレケテタク..」
 
 
 
「休むな!」
 
 
 
 
「ダーテテケテタク デレデレケテタクタクタ...」
 
 
 
「ダーテテケテタクタというフレーズが、俺の頭の中では
 
 
 
「もークタクタ クタクタです!」と悲鳴をあげている。
 
 
 
 
考えが甘かった、、、。メタクタにやられた、、、。
 
 
 
 
いきなりハイテンションのレッスン、秒速で筋肉痛、頭も放心状態、
 
 
 
 
 
 
 
「モミモミ、、、、モミモミ、、、、」
 
 
 
 
「え!?チョ、チョーさん、、、、」
 
 
 
 
 
 
鬼のチョーさんはどこに?
 
 
 
今度は、仏のチョーさんが、満面の笑顔で、
 
 
 
パンパンになった俺の手をマッサージしてくれている。
 
まるで、あしたのジョー丹下段平!!!!
 
ちょっと顔も似ている。
 
 
 
 
ヘトヘトになって、みんなのいるマンションに戻ると、、
 
 
 
 
「せ、、、せ、、せ、先輩!!!」
 
 
 
インドタブラ修行初編 第4話へ つづく

 

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タブラ修行初編 第2話「チョーさんとの再会」

 
 
目覚めると朝の5時。軽く顔を洗いリビングに出ると、ダイキチさんとYO君が、すでに練習を始めている。
 
 
 
コーヒーを淹れ、テラスに出ると、ピリッと冷たい空気と霧に包まれた景色、とんでもなく心地いい。
 
 
 
喧噪の街はまだ目覚めていない。
 
 
 
映画のワンシーンの中にいる様で、「俺、キマッてるな」「俺、結構イケてるな」とニヤニヤしてくる。
 
 
 
 
購入したタブラを持ち帰るため、極力手ぶらで来たので、練習には加われない。
 
 
 
コーヒーを飲みながら、ただただ練習を傍観する。
 
 
 
 
数時間後、練習を切り上げたシタールの2人は師匠U・シュジャート・カーン宅に迎えに来たハイヤーで向かう。
 
 
 
俺は部屋に一人残り、荷物の整理やら、散歩やら、、、、
 
 
 
昼過ぎ、やる事もなくなって、ちょっと寂しくなってきた頃、シタールの2人が帰ってきた。
 
 
 
満足げな表情のダイキチさんとは対照的に、昨夜の灼熱の練習とは打って変わって、うるうる涙目?
 
 
 
 
うつむいたままのYO君、、、
 
 
 
訳が分からないので聞いてみると
 
 
 
「毎日、先生に、ひどく怒られる、、、、」
 
 
 
ボソッと言うなり、YO君は自分の部屋に閉じこもって練習を始めた。
 
 
 
な、、な、、何なんだ!!?
 
 
 
いい大人が泣いてしまうくらい怒られるって、、
 
 
 
昨夜から、まったく状況が飲み込めないまま進む時間、、、、。
 
 
 
軽い昼食を食べて、チョーさんが用意してくれたレッスン場に向かう。
 
 
 
デリーで最も裕福な地区の一つ「バサント・ビハール」にある豪邸、、、、
 
 
 
門番の人が分厚い鉄板で作られた門をあけ案内してくれる。
 
 
 
綺麗な庭を抜けて階段を上がり、離れに通される。
 
 
 
 
 
「チョーさん!!」
 
「きゅうり!!」
 
 
 
 
 
デリーで、さらに眩しく光り輝いているチョーさんと感激の再会、、、懐かしい輝き!!?
 
 
 
 
しかし、この時、これから始まる、ハイパー過ぎるレッスンと想像を遥かに超える出来事が待ち構えていようとは知る由もなかった、、、、
 
 
 
 
インドタブラ修行初編 第3話へ つづく

 

 

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タブラ修行初編 第1話「到着」

インドでの滞在先はサケットという裕福層の住む地区にあるセキュリティー万全なウィークリーマンション。
 
地区一帯は柵で囲まれていて、24時間門番が立っている。到着したのは夜11時を過ぎた頃、、、
 
 
 
 
玄関のドアを開けたとたん、、、
 
 
 
異様な熱気が!!!!?
 
 
 
1週間ほど前から先にデリーに来ていたダイキチさんの他に、シタール奏者がもう一人に、タブラ奏者が一人、、、。
 
 
 
灼熱の練習中!!!!!?
 
 
 
「な、な、なんだ、ここは!?なんなんだこの熱気は!?」
 
 
 
 
1月のデリーは凄く寒い。夜はダウンジャケットが無いと外を歩けないほどに。
 
 
 
しかし、この一室だけは、真夏のインドを上回るほどの熱気が充満していた。
 
 
 
 
耳をつん裂くタブラの音と空間を満たすシタールの音が、リビングでウネりまくっている。
 
 
 
 
しばらくその様子を傍観していると、タブラを叩いていた一人が俺に気付いて声をかけてきた。
 
 
 
「お前が、"きゅうり" か?なんか思っていたより普通のやつだな!」
 
 
 
不躾にそんな事を言ってくるそいつは、小さい子供のように見える。
 
 
 
さっき、タブラを叩いていた時には同じ年ぐらいかと錯覚したが、タブラから離れてここまで数メー
トル歩いているうちに、タイムスリップでもしたかのように子供になった。
 
 
 
「なんだ。お前は!??失礼なやつだな!!?」
 
 
 
「俺はレオ。13歳。タブラは2歳からやってる。つまり、お前の先輩だよ。」
 
 
 
「え!!?10年以上?その歳で!?、、、レ、、レオ、、、、レオ先輩!!?」
 
 
 
「よろしく!!きゅうり!!」
 
 
 
「よろしくお願いします!!レオ先輩!!」
 
 
 
その様子を、じっと遠くから観察していたシタールを弾いていた男も近寄ってきた。見た目は人の良さそうな日本人のようだが、日本語を話していない。
 
 
 
「僕は、台湾から来たYOと言います!!君がきゅうり君か!!話には聞いていたよ。よろしくね!!」
 
 
 
「ああ!!?台湾のYO君か!!?俺も名前は聞いたことあるよ!!日本語喋れるんだね!!うまいね!!こちらこそよろしく!!」
 
 
 
何が何だか訳のわからないまま、異様なテンションに飲み込まれ、インド初日の夜はスタートした。
 
 
 
高級マンション、夜遅くまでギンギンの練習、、全てが予想外の初日、、
 
 
 
さっそく明日は、チョーさんと再会、、デリーでの初レッスン、、、
 
 
 
いきなりカウンターパンチを食らって、
 
気づくと夜は明けていた、、、
 
 
 
 

インドタブラ修行初編 第2話へ つづく
 
 

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