師匠タブラ奏者チョーさん感動秘話①
至高の音を求めて、宇宙3個分の星の数ほどの凄腕タブラ奏者が、己の人生の全てをかけて挑むインド古典音楽の世界!でも、その中で成功できる人間は、ほんの一握り、0.0000001%程度!超絶演奏は当たり前!音楽的センスが良いのも当たり前!己の情熱を絶やす事なく燃やし続け、奇跡をも味方にする者だけが生き残れる弱肉強食の世界!
そんな超絶厳しい世界の最前線を躍進し続け、デリーとコルカタにジム付マンションを持つタブラ奏者アルナングシュ・チョウドリィこと通称チョーさん。
チョーさんが成功するまでの感動秘話をお話しします。
チョーさんは医者の家系の家に生まれました。そして、音楽好きの両親の勧めで、巨匠シャンカール・ゴーシュに6歳からタブラを習い始めます。
両親は、習い事として勧めただけ。日本で言えば、子供にピアノを習わせるようなもので、普通に大学に入って、医者への道を進んでもらうのが親の望み。
頭脳明瞭・成績優秀なチョーさんは、親の期待通りにエリート街道を進み、親の期待通りの大学へ進学、順調なエリート街道を進んでいきます。
、、、が、実は、両親すらも知らないところで、チョーさんのタブラに対する情熱の炎は、燃え上がっていました。
「もっとタブラが上手くなりたい」「プロのタブラ奏者になりたい」
その炎は日に日に大きくなっていきます。
でも、頭脳明瞭・成績優秀なチョーさん。自分がプロのタブラ奏者になる事が、どれほど不可能な事かは痛いほど分かっています。
インドでタブラ奏者として成功する人の多くは、10代の頃から才能を発揮し、プロとして活動を始めるのが通例です。
チョーさんの師匠、巨匠シャンカール・ゴーシュは、数々の凄腕のスパースター選手を生み出した、指導者としても優れた人だったので、チョーさんの周りには、そう言う「天才タブラ奏者」が沢山いました。
しかも、中世から1000年近く、貴族の音楽として発展してきたインド音楽の世界。貴族制度がなくなった今でも、裕福層とインテリ層が中心。家柄が重視されるその世界で、自分が音楽の家系でない事、それをカバーできるようなコネも、人脈も持っていない事。それがどれほど不利な状況か。
プロのタブラ奏者になるための条件を、自分がほとんど持っていない事を理解していました。
でも、どんなに頭では分かっていても、心は納得してくれません。
タブラに対する情熱の炎は、さらにどんどん大きくなっていきます。
もっとタブラが上手くなりたい、、、プロのタブラ奏者になりたい、、、もっとタブラが上手くなりたい、、、プロのタブラ奏者になりたい、、、もっとタブラが上手くなりたい、、、プロのタブラ奏者になりたい、、、もっとタブラが上手くなりたい、、、プロのタブラ奏者になりたい、、、
ある日、、、チョーさんは、親の猛烈な反対を押し切り、医者への道、両親の信頼、自分が培ってきた全てを捨て、タブラ奏者への道を進み始めます。
チョーさん、20歳の時でした。
続く
<アルナングシュ・チョウドリィ来日公演>
6月2日(土)18:00:錦糸町:SASAYA CAFE
6月6日(水)19:00:早稲田:The Concert of Tokyo Concerts
6月8日(金)18:30:吉祥寺:武蔵野公会堂
6月9日(土)17:00:大磯:今古今
公演の詳細・ご予約はオフィシャルサイトorきゅうりまで>
http://kyuri-tabla.wixsite.com/japantour
タブラきゅうりで検索できます
J-WAVEラジオ出演中>
サラーム海上「ORIENTAL MUSIC SHOW」
http://www.j-wave.co.jp/original/dc3/
5月25日(金)ヨシダダイキチ×岡部洋一(ROVOetc)×きゅうり@下北沢サーカス
https://www.facebook.com/events/199443350673206
5月26日(土)インド音楽を理屈抜きで楽しむためのレクチャー&ライブ
ヨシダダイキチ×きゅうり
#きゅうり #インド #タブラ #修行 #下北沢 #tabla #kyuri #japan #india #trip #ableton #fashion #monotone #glitch #ambient #aframe
朝日新聞「BOOK&Review ザ・達人のオシ本」で取材を受けました
インド修行2期 29話
チョーさんに、心から感謝の意を込めてインド式の挨拶をすませ、只今空港に到着しました。
今回のインドタブラ修行、意識や考え方が、とんでもなく大きく変わりました。
たった1ヶ月ちょっとでしたが、書ききれないほどの出来事と出逢いがあり、細胞が入れ替わってしまいました。
目が覚めたら、夢の事を忘れてしまっているように、インドに来る前の自分について忘れてしまいました。
なので「何処がどう変わったのか?」と聞かれても、答えることができません。
ただ、一つ、ハッキリと言える事は、とてもありきたりな表現で恐縮ですが、
「タブラという楽器、そして、インド古典という音楽が、本当に心から好きになった」
と、言う事です。
なんだ?今まで好きじゃなかったのか?と言われてしまいそうですが、そうだったのかも知れません。
今のこの気持ち、言葉では言い表せない気持ち、燃えさかるほどのタブラに対する情熱!!音楽に対する情熱!!
実は、タブラ修行2年目のインドだけれど、巨匠のコンサートを生で見るのは今回が初めてでした。
チョーさんが、巨匠達と世界中の大舞台で演奏していることは知っていたけど、その姿を目の当たりにするのも初めてでした。
初めて、チョーさんのお付きとして、コンサートに出向き、巨匠たちを目の前に、アタフタすばかりでした。
そして、恐怖のシタール大王にも、怒られました、、、。
それなのに、食事も一緒にしました。伝説の音楽家たちが座って食事をしていたその席で、、、。
俺は、来年も、再来年も、インドにタブラ修行にきて、毎回、凄いミュージシャンのライブを目の当たりにし、さらに今回のような体験もする事になると思います。
でも、初めての体験は、もう二度と来ません。
生まれて初めて目撃した、恐怖の大王Uシュジャートカーンとチョーさんのライブ!!
5000人を超える観客はステージまで溢れ、、、
弦が切れても、それをもの凄いエモーションでぶっ飛ばし、超超満員の観客を沸かせたあの爆発力!!湧き出た涙!!衝撃!!
この先、何十回、何百回とコンサートを見ると思います、、
でも、、
この衝撃は決して忘れない!!
この体験こそが、これから先もずっと、俺にとってのもっとも重要なエモーションになる!!
これは、これからミュージシャンとして生きていこうとしている俺の礎石になる!!
そう信じています。
今回のインド、俺にとってだけでなく、元シタール・ヤンキーのYo君を始め、ダイキチさん、馬鹿モヒカン織本、みんなに大きな変革が訪れたようです。
それぞれ、色んな思いと出逢いがあり、様々な決断や悩みと向き合いながら「音楽」という終わりのない道を進んで行く仲間です。
俺は、2年ちょっと前に仕事を辞め、ダイキチさんに色々と教えてもらい、1年前にチョーさんを紹介してもらって、そこから、全てが変わりました。
今、立っているこの場所は「本当に音楽と向き合い始めた時」から見たら、たった1年のところです。
これから、とんでもなく長い道のりを進んでいきます。
この終わりなき音楽の長い道のり、、、
今回のインドで受けた衝撃をエネルギーに、爆進していきます!!
何卒、よろしくお願いします!!
下記リンクから、今回のデリー到着翌日に出演したハビタット・センターでのライブ録音CDが購入できます!
ご購入、是非お願いします!
インド修行2期 28話
「ちゃんと眠れたか?」チョーさんからのメールで目が覚めた。
昨夜はぐっすりと眠ることができた、、。ドワルカのホテル、湿気と騒音と生乾きの臭いは凄いけれど、それが嫌だったのか、ニムラナの幽霊もここには来れなかったようだ。
いよいよ今日の夜便で日本に帰国する。快適な日本に帰れる嬉しさと、チョーさんと離れる寂しさが、おしくら饅頭している。
なにしろ、この1ヶ月間、ほぼ毎日欠かさずチョーさんと会っていた。レッスンを受け、一緒にライブをし、コンサートのお付きをし、コルカタにも行き、、夜ご飯を一緒に食べ、、マッサージをしたり、、とにかく、沢山の時間をともに過ごした。たぶん、奥さんよりも誰よりもチョーさんと接している時間は長かったと思う。
今回チョーさんは、沢山の時間とエネルギーを俺のために使ってくれた。ここまでしてくれる師匠は他にはいないだろう。
レッスンやライブのことだけに留まらず、ホテルの手配、さらには「ご飯はちゃんと食べれているか?」「部屋で練習しても苦情は来ないか?」「夜はちゃんと眠れているか?寂しかったらいつでも電話して来いよ。」など、めちゃくちゃ忙しい人なのに、頭をフル回転して気遣ってくれる。あまりの回転の速さに、チョーさんの頭がボーリングの球に見えたこともあった。本当に何から何までお世話になった。
今回、タブラを新しくオーダーし、昨日受け取った。最高中の最高のタブラ。俺が使うのは痴がましいほどのタブラ。日本のネットなどで買うことができる「最高級タブラ」とは全く別物の、巨匠クラスでしか使うことを許されないような超一級品のタブラ。
これも全て、チョーさんがタブラ工房に連絡し、指示、調整をしてくれた。
実際、外国人がこんな凄いタブラを手に入れる事は不可能だ。インド人タブラ奏者でも、余程の巨匠でない限り、手に入れる事は出来ない。
俺は、たった一言こうお願いしただけ、
「チョーさんが使っているような低い音のするタブラが欲しいです。色は黒く塗って欲しいです。」
そんなワガママなお願いに「分かった。任せておけ!」とひと言だけ言うと、早速タブラ工房に連絡し、細密な注文をしてくれた。
チョーさんが贔屓にしているタブラ工房はデリーでもトップの超人気店。デリーで見たコンサートでも、ほとんどの巨匠がここのタブラを使っていた。
それほどの超人気店、その中でも最高のタブラを作れる職人さんは数人しかいない。しかも、1つのタブラを作るためにはたくさんの工程と時間が必要。さらに、出来の良し悪しは、完成してみないとハッキリわからない。そして、工房には毎日数え切れないほどのオーダーが入ってくる。
必然的に、巨匠には出来の良いタブラが行き、そうでない人には、身分相応のタブラが届く。そんなパツパツの工房で、タブラを使いこなす技術も乏しい外国人が、最高のタブラを手に入れることがどうしてできようか。
それだけを考えても、チョーさんが、俺のタブラを手に入れるために注いでくれた労力は軽く俺の想像を超えるだろう。たぶん、ほぼ毎日、進捗状況の確認の連絡を入れ、納期の確認をし、オーダーの再確認をしてくれたはずだ。
なにを隠そうこのタブラ
「ボディをコルカタの別工房で特注で製作 → 完成後デリーに輸送 → デリーで黒く塗装 → 打面の製作 → 仕上げ・調整」
という、インドではほぼ不可能と思われる超特殊な工程を踏んでいるのだ。
それが、納期を守って、さらに一切の妥協なく、最高の品質で、手元に届いた感動と有難さ!!チョーさんにはいくら感謝してもしたりない!!そして、ギリギリのスケジュールの中、最高の状態に仕上げてくれた「Gullu」さん!!ありがとうございます!!
このタブラに見合う技術になるのには何十年もかかると思うけど、気持ちだけは応えられるように練習頑張ります!!
宮殿ホテルでお化けと悪夢に魘された吉日(昨日)の朝、、、「細木数子をもう信じない!!」と誓った、その日の夜に、最高のタブラに出会ってしまった。
「細木数子はやはり魔女だ!!」と、彼女の暴露本「魔女の履歴書」を手に取りながら、思いました。
これから、荷造りして、チョーさんに最後の挨拶に行き、いよいよ日本に帰ります!!
インド修行2期 27話
昨夜のライブ前の事、、、
き「チョーさん!今日のライブですが、俺に気を使わないで下さい!俺のレベルにテンポを合わせるとか、フレーズを選ぶとか、そういう事は不要です!そのままのチョーさんで演って下さい!」
今年のインド修行の最終日でのラストライブ!修行の成果を見せようと、俺は、ヤル気に満ち溢れていた!
チョ「分かった!そこまで言うなら、そうしよう!しっかりついて来いよ!」
き「はい!」
ライブ序盤、、、いつものチョーさんのスピード、そして、ソロ!!
コレは習ったフレーズだぞ!よし、イケる!!
チョーさんとのユニゾンがキマる!!
お客さんからは、大きな拍手!!
よし!次のソロだ!
コレもイケる!!イケるぞ!!
お客さんから、またも拍手!!
「カモーンっ!!」チョーさんは、こちらを見て、最高の笑顔!!
テンポが上がる!!
さらに上がる!!
まだ上がる!!
もっと上がる!!
うぉぉおおおお!!!
チョ「テレケテダーテレケテタクターテレケテ、、、!!」
凄いスピードでのチョーさんソロ!!
チョ「きゅうり!!カモーンっ!!」
そして!!
突如生まれた、無音の空間!!
、、、、えっっ!!?
「こっ!!コレは!!ユニゾンではなくて、高速ソロの掛け合い!!?」
うぉぉおおおお!!!、、、
Ω\ζ°)チーン
撃沈、、、、
まだまだ、遠く及びませんでした、、、。
「良くあそこまでついて来たな!!」
チョーさんも、共演者の皆も褒めてくれたけれど、俺は悔しかった!!
インドで活躍するミュージシャンのレベルの高さを改めて痛感した。
でも、凄く楽しかった!!なんか、凄いスッキリしてる!!ライブ終わりに、こんな気持ちは初めてだ!!
こんな経験をさせてもらえるのは、本当に幸運で、有り難くて、いくら感謝しても、到底及ばない。
ライブの後も、感謝と幸せに満ち溢れた気持ちはずっと続いた。
そして、豪華な夕食を食べ、、、チョーさんから勧められたお酒をたらふく呑み、、、最高な気持ちで、、キレイなベッドで、眠りについた、、、
「コンコンコンっ!コンコンコンっ!」
扉をノックする音で目が覚める、、、
誰もいない、、、時計を見ると「深夜2時」、、、一番目覚めてはいけない時間に目覚めてしまった、、
「こ、、怖い、、、やばい、、」
日本にいる時ですら、暗い部屋で独りでは寝られない俺、、、
お酒の力を借りて勢いをつけ、さらに灯り全開にしないと、インドで独りで寝るなんて到底無理!!そんな俺、、、
「なんか、イヤな感じがする、、凄く嫌な感じだ、、そう言えば、ここは元々昔のお城、、奴隷もいれば、処刑にあった人も当然いるはずだ、、あっ、、そう言えば、この部屋にチョーさんが来たとき、本当にこの部屋で良いのか?独りで大丈夫か?と、何度も確認してきた、、、あの時は、外も明るかったし、平気だと思ったけど、そ、そういう事だったのか、、」
こうなったら、朝になるまで、ずっと起きてよう!!
iPhoneで音楽を全開に流し、本を手に取る、、、
2時間後、、、
「ね、眠い、、、パタッ」
コレが間違いだった。
書くのも恐ろしい夢を見た。
うなされて、目が覚めたら、朝の5時、、、ベッドのシーツは汗でぐっしょり濡れていた、、、
朝食の時、この出来事をチョーさんに話した。
チョ「だから、何度も確認したじゃないか!!ここは、昔の宮殿なんだぞ!!」
この日は、細木数子の占いでは「吉日」!!最高の運気!!
「もう信じない!!細木数子なんて信じない!!信じないぞ!!」
独りになったら読め、と渡された細木数子の暴露本「魔女の履歴書」。それを、手に取りながら、俺は誓った、、、。
インド修行2期 26話
去年、初めてのインド修行に来て、そして、前日にいきなり決まった人生初のインドでの演奏。場所は、太古の宮殿がそのままホテルとなった「ニムラナ・フォート」
あの時の、溢れんばかりの「興奮」というか「緊張」が、昨日の事のように思い出されます。、、その場所で、明日、また演奏します!!
昨日のレッスンの時のこと、、、
チョ「きゅうり。ホテルの食事はどうだ?」
き「不味くは無いです。油が多くて胃が痛いけど、、、」
チョ「そうか。胃が痛いのはイケナイな。ちゃんとした食事を食べたほうが良いな。」
き「めっちゃ食べたいけど、この辺りじゃあ、無理でしょう?」
チョ「そうだなぁ、、。どこか、無いかなぁ、、。あ、そうだ、、きゅうり、去年行った宮殿のホテル覚えているか?」
き「そりゃあ忘れるわけ無いですよ!!記念すべきインド初ライブの場所ですから!!ライブ後に食べた夕食はめっちゃくちゃ美味かったなあ、、、。また、ああいうの食べたいなあ、、、。」
チョ「よし!!明後日、行くか!!」
き「えっ!?でも、チョーさん、そんな時間あるんですか?忙しいのに、、、」
チョ「大丈夫!!大丈夫!!遊びに行くわけじゃ無いんだから!!」
き「えっ?じゃあ営業?チョーさんもそんなことするんですね。」
チョ「そんなわけ無いだろう。ライブだ!!」
き「えっ?ライブ!?そうか、ライブかぁ!!いやぁ、楽しみだなぁ!!全力で荷物運ぶの手伝います!!食事、楽しみだなぁ!!」
チョ「んっ!!?一体、何を言っているんだ!!?荷物運んだだけで、食べられると思ってるのか?」
き「え、、、、?」
チョ「お前も演奏するんだ!!」
き「、、、、、えっ!?えっっっ!?エッーーーーー!!!!」
チョ「どうだ!!!?驚いたか!!!?」
き「う~~~~~っ、い、、胃が痛い、、、、」
そんなに、急遽ライブが決まるわけもなく、、俺がインドに来る前から、決まっていたようです、、、。
またしても、サプライズが好きなチョーさんにやられました、、、。
と、言うわけで行ってきます!!カレーを味わって食べる気持ちの余裕は持てないでしょうけど、、、。
インド修行2期 25話
今朝、凍死するところでした、、、。
危なかった。あと少し、目覚めるのが遅かったら、この投稿をする事もなかったでしょう。
命には変えられないので、フロントの若者に頼んで、部屋を変えてもらいました。
窓がある部屋は危険なので、窓のない部屋に移動中、、、ちょっとカビ臭いですが、、、暖かくて快適です!!
これで何とか1週間乗り切れそうです!!
だいぶインドにも慣れてきたし、タブラの音もいい感じになってきましたが、、、それと引き換えに、表情とか、仕草とか、強気に話すところとか、だんだんインド人化してきました。
今日もカレーを食べて、練習とレッスン頑張ります!!